OIM 結晶方位解析装置

EBSD法とは

SEM チャンバー内にて結晶性試料を大きく傾斜し電子線を照射すると、右図のようにEBSD(Electron BackScatter Diffraction)パターンが発生します。このEBSD パターンを専用のEBSD検出器により連続収集しながら、指数付けおよび結晶方位算出を行います。この連続した結晶方位データを用い、ミクロな材料組織の評価を行うことを目的に設計された専用のデータ解析ソフトウェアによってマップ・プロット・チャートなどに展開することが可能となります。このEBSD法を用いミクロな材料組織の観察を行う手法を OIM (Orientation Imaging Microscopy) と称します。

EBSD(Electron BackScatter Diffraction)パターン

OIM Data データ収集(APEX)

APEX ソフトウェアでは、検出器の制御やEBSDパターンの取込の制御、取込んだEBSDパターンの指数付け・結晶方位の算出等を行います。APEXではユーザーフレンドリーで、高い操作性を実現した、最も高精度で効率の高いEBSDデータ収集ソフトウェアです。

OIM Data データ収集(APEX)

特徴

  • 高機能なバックグラウンド処理を行えます。
  • 通常の測定のみならず、特殊な透過EBSDパターンの指数付けにも柔軟に対応可能です。
  • フレキシブルな条件設定の可能なHough変換制御では、適切なバンドの検出を行い、高精度な結晶方位算出が可能です。
  • APEXで採用している3バンド法による指数付は、高い信頼性と指数付速度を両立した最も優れた指数付手法です。多相材においても、指数付け速度の低下を最小限に抑えることが可能です。またConfidence Indexによる指数付けの信頼性評価はデータ解析で重要な役目を果たします。
  • APEXは、EDSデータを同時に取得しEBSD/EDSによる相分離が可能です。
  • EDS同時分析に取得した際のEDSデータを利用し、EDS独自の解析が可能となり、シームレスに使用できます。
  • SEM ステージを制御し広範囲な測定を自動で行うMontage Scan、そして3次元再構築用連続データの取得にも対応しています。
  • 高機能化、検出器の高速化に伴い、最大約3億点までのデータ収集が可能です。

OIM Data データ解析(OIM Analysis)

APEXで収集したデータは、ミクロ組織の解析を目的として開発されたOIM-Analysis ソフトウェアで解析を行います。 OIM-Analysis ソフトウェアは、材料のミクロ組織解析に必要な多くの機能を1つのソフトウェアに効果的にまとめた豊富な機能を持つ使いやすいEBSDデータ解析ソフトウェアです。 マップ、極点図・逆極点図そしてグラフへの展開、さらにこれらのデータを関連付けながら解析を行うHighlight/Partition 機能など、簡単な表現から高度な解析まで対話型の分かりやすいインターフェースを用い、簡単な操作が可能です。OIM Analysis ソフトウェアは、日々進化を続け、最も高い評価を受けているEBSD用データ解析ソフトウェアです。

OIM Data データ解析(OIM Analysis)

特徴

  • 全ての機能を1つのプログラムにまとめた、メニュー形式の分かりやすい対話型インターフェース。
  • 多種、多様なマップ機能、結晶方位/方位差マップ等では、これまでにない局所的な変形挙動の理解に役立ちます。 また白黒のマップとカラーマップのオーバーレイ表示も可能です。
  • プロット機能では、極点図・逆極点図・ODF の表示の他、MDF の表示にも対応しています。
  • マップやプロットで表現されたデータは、すべてチャートとして定量的に表示が可能です。
  • Highlight機能によるマップ・プロット・チャートデータの関連付けが可能です。またHighlightされたデータは、別データとして保存することも可能です。
  • CI値・IQ値等のパラメータを使用したデータフィルタリング、パーティショニング機能を実現しています。
  • フレキシブルな解析条件設定が可能です。
  • 使用頻度の高い機能をファンクションボタンで定義するオペレーションのカスタマイズが可能です。
  • バッチ処理機能による大量のデータ処理が可能です。
  • 再スキャン機能の充実により、Analysis上で結晶系の追加・作成、Houghパラメータの変更が可能になり、精度の高い再スキャンが可能になりました。
  • マルチコアに対応し、より高速な解析が可能です。
  • 取得したデータからの、旧オーステナイト粒の再解析が可能になりました。

PRIAS 反射電子像 (一部構成ではオプション)

EBSD用反射電子検出器(FSD) は通常右図のようにセットされます。しかし試料からの反射電子を最も受けているのはEBSD検出器そのものです。このEBSD検出器が検出したパターン像にWindow を設定し、そのWindow 内の信号を輝度信号として反射電子像を形成する技術です。Windowの設定する場所で意味合いの異なった像が得られます。また、パターン像の差分を輝度信号として像を作ることも可能です。これにより、これまでに無い情報量の多い像を得ることが可能となります。